
冷え込みの厳しい朝、玄関のチャイムが鳴り響きました。インターホン越しに映ったのは、大きな白い袋を抱えた配達員の姿。受け取ってみると、ずっしりと重く、光沢のあるビニール素材特有の質感が手に伝わってきます。しかし、宛名を確認しても、自分が一体何を注文したのかすぐには思い出せません。最近の私の生活において、この「謎の荷物」との対面は、もはや日常の一コマになっています。
注文が記憶から消える理由
以前はAmazonや楽天で、じっくりと比較検討してから購入ボタンを押すのが当たり前でした。しかし、ここ数年で私のメイン市場はTemu(テム)へと完全にシフトしています。その最大の理由は、圧倒的な低価格にあります。正直なところ、日本経済への影響を考えると複雑な心境になることもありますが、限られた予算で生活をやりくりする身としては、この安さは無視できない生命線です。
この「安さ」と「手軽さ」が合わさることで、購入時の心理的ハードルが極端に低くなりました。かつてビデオ編集に熱中していた頃、膨大な素材の中から「必要なシーン」を必死に選び出していた、あの慎重さはどこへ行ったのでしょうか。当時は一つの動画を作るために、何度も同じ映像を見返し、不要な箇所を1フレーム単位で削ぎ落とすという、非常にエネルギーの要る作業をしていました。それに比べて今の買い物は、あまりに軽やかで、それゆえに記憶に残りません。指先一つで次々とカートに入れ、決済を済ませた瞬間に、その商品は私の意識から一旦消え去ってしまうのです。
消費の無意識化が招く影
届いた大きな白い荷物をハサミで開封すると、中から出てきたのは予想通り半袖のシャツ数枚と、細かいガジェット類でした。確かに必要だと思って買ったはずですが、現物を目にするまで忘れていたという事実に、少しばかりの怖さを感じます。これは単なる物忘れではなく、消費という行動自体が「無意識化」している証拠かもしれません。
かつてデジタルデータの整理について悩んでいた時、「整理とは不要なものを捨てること、整頓とは欲しいものがすぐ手に入ること」という考え方に触れました。当時の私は、思い出が詰まったビデオのカット編集すら、何かを失うようで躊躇していたものです。しかし現在のネット通販における私の行動は、その対極にあります。吟味することなく手に入れ、届く頃には注文したことすら忘れている。手元に届く「物」の重みと、それを手に入れるための「決断」の軽さが、完全に乖離してしまっています。便利な物流システムを支える運送会社の方々のおかげで、このサイクルはさらに加速し、淀みなく回り続けています。
効率的な管理への移行案
この「忘れる消費」とうまく付き合うためには、システム側での管理を徹底するしかありません。幸い、今のEコマースアプリは購入履歴の参照が容易です。自分が何を、いくらで、いつ買ったのかを可視化することで、無意識の底に沈んだ注文をかろうじて繋ぎ止めることができます。かつてビデオ編集において、どのシーンが「美味しいところ」かを見極めるのに苦労したように、現代の買い物においても、自分にとって本当に価値のある選択肢をフィルタリングする技術が求められていると感じます。
今回の荷物に含まれていたシャツは、早速明日から仕事着として投入する予定です。安価な商品であっても、手元に届いた以上は、かつてのビデオテープを大切に保管していた時と同じように、役割を全うさせたいと考えています。消費のスピードがどれほど上がろうとも、手元にある物との向き合い方だけは、意識的にコントロールしていく必要があります。
今回の注文履歴を改めてスプレッドシートに転記し、今月の購入総額と必要性の再確認を行いました。次は、溜まってきたガジェット類の整理術について、物理的な収納面からアプローチしてみるつもりです。
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